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「きょうだい不登校」という言葉をご存じでしょうか。一人の子どもの不登校が、そのきょうだいにも静かに広がっていく状態を指します。我が家がまさにそうでした。兄は、小中学校で登校のつまずきを重ね、転校も経験しながら、今は通信制高校に進学しました。自分のペースで学べる場所にたどり着けたことは、親としてほっとした出来事でした。ですが、今も起床がうまくいかず、遅刻ばかりの日々が続いています。朝、なかなか起きられない兄の部屋の前で、何度ため息をついたか分かりません。
そして、その姿をいちばん近くで見ているのが、下の子でした。気づけば下の子も、時々学校を休んだり、遅刻したりするようになっていたのです。「お兄ちゃんはいいのに」——そんな空気を、この子なりに感じ取っているのかもしれません。同じように、上の子に手を取られる毎日のなかで、ふと下の子の顔を見て「この子には、ちゃんと目が届いているだろうか」と胸が痛む方も、いるのではないでしょうか。
不登校というと、どうしても「行けない本人」に関心が向きがちです。ですが、その子のきょうだいもまた、静かに影響を受けています。今日は、我が家の経験も交えながら、見過ごされやすい「きょうだい不登校」というテーマについて、家族全体で向き合うためのヒントをお伝えします。
きょうだい不登校は、特別なことではありません
まず知っておいていただきたいのは、これがけっして珍しい話ではないということです。不登校の子どもをもつ保護者への調査では、37.7%が背景要因の一つに「きょうだいの不登校」を挙げています。また、文部科学省の調査では、不登校になった小学生の7.2%、中学生の5.9%が、そのきっかけとして「きょうだいや親しい友人の欠席」の影響を挙げています。
「うちだけかもしれない」と一人で抱えていた方も、同じ悩みを持つ家庭が多くあると知ると、少し肩の荷が下りるのではないでしょうか。8月には「きょうだい不登校」に光を当てた書籍も刊行される予定で、社会的な関心も高まっています。
年齢が近いきょうだいほど、影響を受けやすい傾向があるとも言われています。上の子が家で過ごす時間が増えると、家庭の空気そのものが変わります。その変化を、下の子も敏感に感じ取っているのですね。我が家でも、兄の「朝は遅れて動き出す」というリズムが、いつのまにか下の子の生活にも溶け込んでいました。これはなまけているのではなく、いちばん身近な人の姿を映してしまう、子どもの自然な反応なのだと思います。
きょうだい不登校で、学校に通う子が抱える見えにくい気持ち
学校に通っているきょうだいは、一見「大丈夫そう」に見えます。ですが、その内側では、いくつもの気持ちが揺れていることがあります。
たとえば、友だちに「お兄ちゃんはどうして学校に来ないの?」と聞かれ、うまく説明できずに気まずい思いをする。あるいは、「自分はがんばって行っているのに、あの子ばかり優しくしてもらえる」と感じる。こうした気持ちが、「ずるい」という一言になって出てくることがあります。
特に小学生の子は、自分の気持ちをまだ言葉にするのが難しい年ごろです。もやもやを「ずるい」と口にできればまだいいほうで、多くの場合は「なんとなくお腹が痛い」「今日は行きたくない」といった、体や行動のかたちで表れます。我が家の下の子の遅刻や欠席も、振り返れば「ぼくのことも見てほしい」という小さなサインだったのかもしれない、と今は思います。
「ずるい」と言われたときの向き合い方
もし「ずるい」と言われたら、まずはその言葉を頭ごなしに否定しないことが大切だと思います。「そんなこと言わないの」と抑えてしまうと、その子は「自分の気持ちは聞いてもらえない」と感じてしまうかもしれません。
かわりに、「そう思うよね、教えてくれてありがとう」と、いったん気持ちを受け止めてみてください。「ずるい」の奥には、たいてい「自分も見てほしい」という願いが隠れています。きょうだいを同じ物差しで比べるのではなく、一人ひとり別の子として、それぞれの気持ちに向き合う。その姿勢が、連鎖への不安をやわらげる土台になります。
きょうだい不登校で、行けない子も行っている子も大切にするために
とはいえ、限られた時間と体力のなかで、二人(あるいは三人以上)に等しく向き合うのは、本当に大変なことです。「どちらかを立てれば、どちらかが立たず」と感じる日もあるのではないでしょうか。
一つの工夫は、短くてもいいので「その子だけの時間」を意識してつくることです。学校帰りに二人で買い物へ行く、寝る前の5分だけ今日の話を聞く。そんな小さな時間が、「あなたのことも、ちゃんと見ているよ」というメッセージになります。
もう一つ大切なのが、家で過ごす子の「学びの土台」を整えておくことです。行けない子の学習が宙ぶらりんのままだと、親の心配も学習フォローもその子に集中しやすく、結果としてきょうだいへの関わりが手薄になりがちです。なお、自宅での学習を学校の出席日数として認めてもらう方法については、不登校の「出席扱い制度」の記事でくわしく解説しています。あわせて読んでみてください。自宅で計画的に学べる通信教育を取り入れておくと、その子が自分のペースで学びを進められ、親の気持ちにも余白が生まれます。たとえば、学年にとらわれず苦手なところまで戻って学べるすららは、自宅学習を出席扱いとして認めてもらえた実績も多く、「学びを止めたくない」というご家庭の心強い味方になってくれます。
学習面でつまずきが強いときや、心のケアもあわせてお願いしたいときは、伴走してくれる存在を頼るのも一つの方法です。たとえば、不登校専門のオンライン個別指導ティントルでは、勉強を教えてくれる講師とは別に、不登校の心理に詳しい担当者が親子の気持ちを支えてくれます。第三者が学びと心の両面を受け止めてくれることで、親は「先生役」から少し離れ、きょうだい両方に、親としてのまなざしを注ぎやすくなります。
おわりに
きょうだい不登校で悩むとき、つい「どちらを優先すべきか」と考えてしまいがちです。ですが、本当に伝えたいのは、どちらの子にも「あなたはそのままで大切だよ」という一点なのだと思います。
行けない子も、行っている子も、それぞれに揺れながら毎日を過ごしています。完璧に平等でなくて大丈夫です。今日は下の子と少し長めに話してみる、明日は上の子の隣に座ってみる。そんな行き来のなかで、家族全体の心のバランスは、ゆっくりと整っていくのではないでしょうか。あなたとお子さんたちのペースで、少しずつ進んでいけますように。


