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「もう終わっちゃった」——次男のひとことに驚いた日
小6の6月。次男がぽつりと言いました。
「算数、もう終わっちゃった」
え?終わった?何が?
聞けば、小学校の算数の範囲をすべて終えたとのこと。個別指導塾で週1回、コツコツ進めていた先取り学習が、いつの間にかここまで来ていたんです。
正直、驚きました。そして、ちょっと焦りました。
終わったなら、次は何をすればいいんだろう。中学受験の勉強?でもうちの子、まだ「受験する」とは言っていない。先走って「さあ受験勉強だ」なんて言ったら、せっかくの流れが壊れてしまうかもしれない——。
この記事では、次男の先取り学習が一段落した今、親として何を考え、どう動いているかを書きます。「不登校の子どもに勉強させるべきか」と悩んでいる方に、答えではなく、うちの事例としてお伝えできればと思っています。
そもそも先取り学習が必要かどうか迷っている方は、以前書いた「先取り学習は必要か」もあわせてご覧ください。
先取り学習を始めたきっかけ
次男が個別指導塾に通い始めたのは、小5の9月でした。
きっかけは、学校の勉強についていけなくなったことへの本人の不安。「算数、何やってるかわかんない」とぼそっと言ったのが始まりでした。
長男の不登校を経験していた私は、「勉強しなさい」とは言いませんでした。ただ、「塾、行ってみる?」とそっと聞いただけ。
返ってきたのは、意外にも「うん、行ってみる」。
週1回、1教科から。集団塾ではなく個別指導を選んだのは、長男のときの反省からです。うちの子たちは、周りと比べられる環境が合わない。「隣の子より遅い」と感じた瞬間、やる気をなくす。自分のペースで進められることが何より大事だと、痛いほどわかっていました。
これは文部科学省が示す「個別最適な学び」の考え方とも重なります。
塾では学校の復習ではなく、先取りを選びました。「わからない」を埋めるより、「先に進んでいる」という感覚を持たせたかった。これも長男のときに学んだこと。遅れを取り戻そうとすると、子どもは追い詰められます。でも「自分は進んでいる」と思えると、少しだけ余裕が生まれる。その余裕が、うちの子たちには必要でした。
成績が上がっても、本当の変化はそこじゃなかった
先取り学習を始めて半年。次男の成績は上がりました。
でも、私が見ていて一番変わったと感じたのは、成績じゃなかったんです。
それは、次男の表情。
「これ、学校でまだやってないんだよね」
嬉しそうに、ちょっと得意げに話すようになりました。テストで100点を取っても以前は無表情だったのに、今は「ちょっとだけ自慢していい?」と聞いてくる。
小さな変化です。でも、私には大きかった。
不登校を経験した長男を見てきて、私は知っています。子どもは「できない」という経験を積み重ねると、挑戦すること自体をやめてしまう。「どうせ無理」が口癖になる。だから次男には、小さくてもいいから「できた」を積んでほしかった。
先取り学習の目的は、受験に受かることじゃない。「自分にもできるかも」という小さな自信の芽を育てること。次男を見ていて、改めてそう確信しました。
「受験してみたい」が生まれた瞬間
小5の3学期。次男が言いました。
「中学受験、してみたい」
私は聞き返しました。「どうして?」
次男の答えはシンプルでした。
「なんか、できそうな気がするから」
これを聞いて、私は泣きそうになりました。
長男のときは違ったんです。小1から塾に入れたのは親の判断。本人の意思じゃなかった。結果、小6で退塾。それでも受験したいと言い出したのは小6の冬休み。準備期間はわずか3週間でした。
次男は違う。自分から「やりたい」と言った。
これがどれほど大きいことか。長男のときの経験がなければ、きっとわからなかったと思います。
「学校の範囲が終わった」その先で考えていること
さて、冒頭の話に戻ります。
小6の6月。算数の学校範囲を終えた次男。この先、何をするか。
ネットで調べると、中学受験の算数は学校の範囲とは別物だと書いてあります。特殊算、図形の応用、比と割合の複合問題——教科書だけでは太刀打ちできない世界があるのでしょう。
でも、私は焦っていません。
なぜか。うちには通学経路の問題があるからです。学区外の中学は現実的じゃない。仮に受験するとしても、選択肢は限られています。だから、ガリガリ受験勉強をさせる必要はない。
今やっているのは、次男の「やってみたい」という気持ちを守ること。それだけです。
工夫1:「受験勉強」という言葉を使わない
あえて「受験勉強」とは言わないようにしています。
次男には「ちょっと難しい問題もやってみる?」とだけ言う。「受験のために」じゃなくて、「面白そうだから」という動機で取り組んでほしいからです。
長男のときは、塾が「受験のための勉強」を前面に出していました。それがプレッシャーになっていた部分もあったと思います。同じ轍は踏みたくない。
工夫2:教材は本人が選ぶ
先取りが終わった今、次に何をやるかは次男に決めさせています。
「これやってみたい」と言った教材を買う。「やっぱり違う」と言えばやめる。親が決めた教材を押し付けても、長続きしないと長男のときに学びました。
自宅学習を続けられる子には、「自分で選んだ」という感覚が必要なんだと思います。
うちではスタディサプリ小学講座
を使うこともあります。月額2,178円から始められて、動画を見ながら自分のペースで進められる。次男は「学校でやってないところを先に見る」のが楽しいらしく、たまに自分で再生しています。強制じゃなく、本人が「見たいときに見る」。このスタンスがうちには合っていました。
工夫3:親は情報収集に徹する
私にはママ友がいません。中学受験について「みんなどうしてるの?」と聞ける相手がいない。
だから、情報はすべてネットと本から集めています。これは長男のときも同じでした。孤独ではあります。でも、他の家庭と比べて焦ることがないのは、意外とメリットかもしれません。
最近読んでいるのは「中学受験という選択」(おおたとしまさ著)。受験をするかどうか迷っている段階の親に向けて書かれていて、「受験させなきゃ」という焦りを一度リセットしてくれる本です。同じように迷っている方がいたら、手に取ってみてください。
今やっていること——見守るという名の仕事
次男は今、週1回の個別指導を続けながら、中学内容の先取りに入っています。
正直、どこまで続くかわかりません。「やっぱり受験しない」と言うかもしれない。それでもいいと思っています。
大事なのは、次男が自分で決めること。
長男のときの後悔があります。親が決めた塾、親が決めたスケジュール、親が決めた受験。結果、長男は小6で疲弊した。不登校と受験が重なって、本当に苦しい時期がありました。あのときの長男の顔を、今でも思い出します。
だから次男には、できるだけ本人に選ばせたい。
不登校の子どもに勉強させるべきか——この問いに、私は答えを持っていません。ただ、「させる」のではなく「できる環境を整える」ことが、親にできることなんだと今は思っています。
先取り学習は、その環境づくりの一つでした。そして次男の「できそうな気がする」という言葉は、その環境が少しはうまくいったということなのかもしれません。
まとめ——小さな自信の芽を、どう育てるか
小6の6月。学校の範囲が終わった。
次男にとって、これはゴールじゃなくてスタート地点。でも、このスタート地点に立てたこと自体が、1年前には想像もできなかったことです。
先取り学習の目的は、受験合格じゃありませんでした。「自分にもできるかも」という小さな自信の芽を育てること。それが結果的に「受験してみたい」という言葉につながった。
もし今、お子さんが不登校で、勉強どころじゃないと感じている方がいたら。焦らなくていいと思います。私もそうでした。長男が不登校になったとき、勉強のことなんて考えられなかった。毎日をやり過ごすので精一杯だった。
でも、子どもは変わります。タイミングが来れば、自分から動き出す。
親にできるのは、そのタイミングが来たときに、動ける環境を用意しておくこと。
次男がこの先どうなるか、私にもわかりません。でも、「やってみたい」と言った気持ちだけは、大事に見守っていこうと思います。
あなたのお子さんは今、どんな状態ですか?「自分にもできるかも」と思える瞬間、ありましたか?